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茶室の足音の話 耳をすませば・・・襖の向こうが手に取るようにわかる・・・かな?(^^;) [和服と茶道]

昨日、正座→立ち方の話をしましたが
今日はその続きです

茶室は基本的に全員座っているところなので
立ち上がると大きく見えるんですよね
お客様に圧迫感を与えないように
極力静かに動くことになっています

歩くときは足を上げません
すり足です
シュシュ、シュシュシュシュ・・・
足袋と畳が擦れ合って独特の乾いた音がします

この音は雑音ではなく大事な情報です

お客様が茶室に入るのを「席入り」というのですが
このとき茶室と水屋(支度する部屋)の間の襖は閉まっています

もてなす側は、襖の向こうで音を聞いています
お客様が5人ならシュシュシュの音が5つ
にじり口→お床拝見→お釜拝見→席
移動するのを耳で追っています

5人様が席に着いたところで
襖が静かに開き
お点前がはじまります

これを初めて見たときはミラクルでした!(笑)

いえ、正しくは
いまだにミラクルです^^;
だって同時にいくつもシュシュシュシュシュシュ・・・
そのうちわからなくなってしまいます(笑)


私は表千家なのでこんなようなのですが
御流派御流派でまた違うかもしれませんね^^
タグ:茶道
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絵画の中の着付け(2)おはしょりの歴史 [和服と茶道]

最初、着物の帯は1本でした
おはしょり 対丈.jpg

そのうち帯は2本になりました
下の細い方は「しごき」といいます
おはしょり 散歩.jpg

なぜ2本になったかというと
家の中では裾を長くしていたからです
おはしょり 立ち姿.jpg
「なぜ裾が長くても困らないか、それは私は優雅な身分だからです」
「体を動かすことは全部使用人がやりますから おほほ」

お引きずり=優雅=おはしょり=オシャレ

ということが一度決まると
もうあとは誰もかれも何もかもぜんぶおはしょりです
家の中で裾を長くして引きずらなくても
とにかくおはしょりです
おはしょり 宵待ち草-1.jpg
竹下夢二の宵待ち草なんですが
しごき(腰ひも)が見えてます
おはしょり 宵待ち草 部分.jpg
このころは
この細いひもを見せるか見せないのかはっきりしていません
過渡期のようです

見せているときは「しごき」という名前でしたが
見せなくなってからは「腰ひも」と呼ばれるようになりました

いま、しごきをするのは
婚礼衣装とか七五三とかだけのようです

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

お茶のお稽古で
いつも裾が崩れてちょくちょく締め直している人がいて
なんでそんなに崩れるのかなー
腰ひもどうなってるのかなー
と思って聞いたら

「着付け教室で、腰骨の位置でゴム入りの腰ひもで結ぶと習った」

崩れるに決まってます
腰骨は一番細いところではありませんから
刺激があると紐は細い方に逃げます →崩れる

裾、落ちるよね、と聞くと
「裾はこまめに直しなさいと教わりました」
「ウエストで締めると崩れたときに締め直せないから
腰骨の位置の方が良いと教わりました」

また、ゴムの押さえる力と、
立ち座りのときの布にかかる力を比べると
どう考えてもゴムの負けです  →崩れる

なんでゴム入りの紐なのかと聞くと
「伸びないひもだと締めたとき苦しいからこの紐を使いなさいと言われました」

要するに、帯が先、しごきは後、という組み立てです

それはそれで伝統を踏まえた着付けなので
なるほどと納得しました

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

私はというと
腰ひもが先、帯が後
ウエスト位置を伸びない紐でギッと締める派です^^

崩れたとき、腰紐ほどいて締め直す場所って
外出先では滅多にありませんから・・・^^;

もちろん芸能着付けほどきつくはありませんよ
あれは気の遠くなるほど締めるんです!

芸能着付けは、本来、男衆(おとこし)の仕事です
普通の女性の場合、筋力アップが必要です^^;
あの頃・・・筋肉痛とお友達だったな・・・(遠い目)

タグ:和服
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着物離れスパイラル 成人式の振袖の「着心地」に驚く人は多いはずです(^^;) [和服と茶道]

明治になって士農工商という身分制度は廃止になったのですが
着付け的には、はっきり分かれています
というか
私の中ではそれぞれ別のカテゴリーに区分されいてます 混ざりません

士・支配階級 ⇒ 少し動きにくいが礼儀正しい着付け
農・農林水産業 ⇒ 動きやすい着付け
工・加工業 ⇒ 動きやすい着付け
商・流通接客業 ⇒ 適度に礼儀正しく適度に動きやすい着付け
芸能・役者、芸者 ⇒ とても苦しいが美しい着付け

舞妓さんは汗をかきません
ちゃんと理由があります
脇の下を強く圧迫すると自律神経が乱れて汗が出なくなるのだそうです
「そんなに締めて苦しくないのですか?」
「最初はびっくりしたけどなー」
「帯がちゃんと締まってると気持ちがええもんどすえー」
「この頃は帯がゆるいとかえって気持ち悪くてなー」
「なー」

私が習ったスポットライト仕様も
酸欠で倒れる人が時々出るくらい締めます
初期症状は生あくびです
教室は生徒同志で着付けるのですが
着せられている人があくびをすると先生が青くなります
本当に倒れる寸前まで締めるんです(^^;)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

昔は士農工商、どこでもお母さんが着せてくれたので
一般の家の人が着付け師に頼むということはありませんでした
しかし、今のお母さんは着せてあげられないので
着付け師に着せてもらうのですが

着付け師は芸能着付けだけが正しい着付けだと教わっているので
士農工商の着付けを知らないのです
また、知っていても、それを着付けることはできません

理由は、着せてもらう方のイメージです
テレビで見た女優さんのような
カタログで見たモデルさんのような
つまり、芸能着付けでないと納得しないのです

そして

一般家庭の何の覚悟もないお嬢さんが
成人式の着物レンタルと着付けと撮影のセットを申し込むと
芸能関係者しか耐えられない、キビシイ着付けを施されてしまうこととなり

当然ですが、あまりの苦しさにみなさんすごく驚いています
そして、「着物って・・・」と心になにかを刻んでいます

着物離れスパイラルです(タメイキ)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

庶民の正しい着付けが伝承されているのはお祭りです(^^)

阿波踊り 跳ねる.jpg

芸能関係者も御侍様も堅苦しくていけません(笑)

よさこいソーランポスター.jpg

みなさん元気で頼もしいですね(*^-^*)

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補足ですが
楽で動きやすくてきれいに見える着付けができる着付け師もいます!
本当にいます!!
でも、少数です(T_T)

タグ:和服
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絵画の中の着付け(1)上村松園、歌麿 [和服と茶道]

上村松園は明治~大正~昭和前半を生きた人です

そのときの着物姿は好きじゃなくて
母とか祖母の時代の
つまり江戸から明治にかけての着物姿を描いたと言われています

上村松園ポスター.jpg

下は歌麿ですが、なんとなく似ています

歌麿 手紙を読む-1.jpg

確かにその頃(大正~昭和初期)はアールデコに影響された
竹下夢二みたいなのが流行っていたはずです
帯を胸高に結んで細く長くチューブラインを作るんですよね
って、竹下夢二はまた日を改めることにして、今日は上村松園です

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驚くのは衿です

松園の方、衿の後ろの奥に赤いものがあるの、なに???
「ああ、昔は肌着の小衿に紅絹を付けたのがあったわね」
と古い人が教えてくれました

今は小衿を見せるか見せないか微妙なところです

実用的には小衿を見せます
「半衿が肌につかないから汚れなくていいのよ」
といわれているのですが

私の習ったスポットライト仕様では
見た目的にはない方がスッキリするので
「着物が汚れたらクリーニングに出せばいいんです
それより美しく着せて下さい」
とのことで、下に大きく引いて隠します

でも、こうやってアクセントにするなら見せてもOKですね
紅絹に限らず、好きな小布を合わせたりしたら楽しいかも(*^^*)

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もうひとつ・・・驚くのは・・・歌麿の半衿がビロビロ・・・(^^;)

これは今の長襦袢では無理です
衿芯がガッチリはいってるので突っ張ってしまいます
スカーフとか、レースの衿とか
そのぐらい柔らかい仕立てでないと無理です

現代では振袖アゲハの「盛り盛り小物」として
フリルやレースの伊達衿をよくみかけますが
同じ意味かもしれませんね

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

舞台の着付けは門外漢ですが
花魁 玉三郎.jpg
この衿ねじり、どうやるのか知りたいです
もちろん着せる予定などないので、構造的に、です(笑)

タグ:美術館 和服
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動ける着付け、動けない着付け 「スポットライト仕様」は動けないんです(^^;) [和服と茶道]

洋裁ブログを始めたら
いきなりPVが100近く入って驚いたんです
何かと思ったら
これ、その前は、放置していた着物ブログだったんですよね・・・(^^;)
キモノの記事が上がったと思って見に来たらしいんです(汗)

ということは?

・・・着物の記事って
書くと見てくれる人がいるのかな・・・?
でも、今、着物ブログをまた立てるほど時間ないし・・・

ということで、今日は着物の話です(^^)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

フツーの着付け、つまり
お茶会とか、夏祭りとかですが
それは動ける着付けです
当たり前です(笑)

しかし
映像で見る着付けは動けない着付けです
私は「スポットライト仕様」と呼んでいるんですが

あれ
画面の見えないところで
スタイリストさん(着付け師さん)がスタンバイしていて
ガシガシ直しながら撮影しているんです(^^;)

呉服屋さんが反物を売りたいとき
柄がキレイに見えないと困りますよね
特に訪問着とか振袖とか
胸のあたりの絵が美しいんですが
動くとここにシワが出るんです(>_<)
それじゃあ着物の良さが伝わらないよ、ということで
タックを取って布を平らにしているのです
振袖 胸タック.jpg
自分ではこれは着れません
腕を動かすと胸のタックが外れるので(笑)
本人は直立不動で、着付け師さんがタックを作ってます
タックを作ったらけして腕を上げてはいけません

撮影では
ポーズをとって着付け師さんにあちこちガシガシされて
カメラマンがシャッターを切る!
バシャッ

裾もそうです
動くとシワが出るので
撮影前に座ってはいけません
直立不動です
ポーズをとって着付け師さんにガシガシされて
バシャッ

座ったポーズを撮るときは
着付け師さんの指導の下に特殊な座り方をします
ポーズをとって着付け師さんにガシガシされて
バシャッ

努力の甲斐あって、美しい写真が出来上がります

呉服屋さんは喜ぶ
カメラマンも喜ぶ
着付け師さんも喜ぶ
写真を見た人も喜ぶ
本人は・・・

どうでしょうね
成人式とかでこういう体験をして
それが総合的にうれしくなかった場合
キモノは二度と着ないでしょうね・・・(^^;)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

テレビの画質が良くなって
大相撲の観客一人一人がよく見えるようになりましたね(^^)

マス席にタックの崩れていない着物美人を見ることがあるのですが
あれはタダものではありません
相当の修練を積んだ人です・・・!!
タグ:和服
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