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着物の裾が歩きにくい時の処置 遅刻しそうになったとき、なにげに走れる方法 [和服と茶道]

友人がお茶会に1時間遅れてきたことがあります

「・・・歩けないの・・・」

気の毒に、疲れ果てていました

裾を見ると
歩けないはずです
裾が巻きついています

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和服はサイズに関係なく貸し借りができます
身幅の多い少ないは
下前で調節すればいいからです

しかし、気をつけて下さい

多すぎる下前は足に巻きつきます

※下前=したまえ=前身頃の下になった方

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着物の裾でポイントとなるのが腰骨です

骨盤水平断面図 標準.png
上前と下前
両方腰骨の位置なら問題ありません


さて
友人の下前ですが
太った人の着物を借りたので
腰骨より後ろに巻き込んでいました

骨盤水平断面図 多くて歩けない場合.png
摩擦する面積が増えています
下前が後ろに引き込まれているので
「円筒形」として構造的にも安定しています(^^;)


その場で下前を折りました

骨盤水平断面図 多い分を折った場合.png
上前をめくって
腰ひもが下前を押さえているところ
ここを折り返します

巻き込みが外れ
布の摩擦が減ります
これで歩けるようになりました(^^)

ひとつ注意なのですが
これは見た目に影響が出ます
下前が張って上前が押されてふくらむので
記念写真を撮影をするときは気になるかもしれません

逆に
行事の支度など
和服で働くようなときは
身幅がちょうどよくても
わざと折り返して裾裁きをよくすることもあります

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参考までに
身幅の足りないときの下前です

骨盤水平断面図 足りない場合.png
上前の端が
見た目基準線に届いていれば問題ありません(^^)

摩擦が少ないので
歩き易くて良い反面
立ち座りの時、裾が乱れやすくなります(^^;)

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歩き易い、で思い出したんすが

着物を着ていても
走りたいときってありますよね
お土産を買っていたら
新幹線の時間が迫っていたとか(笑)

右手を自然に下ろしたところの着物を鷲掴みにします
握って下前にしわが寄ると
ぎっちり重なった布の間に空気が入ります
今までピタッと吸い付いていた布がフワフワと離れます

これで大股で歩けるようになりました(笑)

普段はやっちゃダメですよ
これが人に知れると着物美人のタイトルを剥奪されます

「はしたない」

一般的には死語ですが
着物の世界ではまだ効力があります

これはあくまでも危機管理ですからね!(^o^)/

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

危機管理、で思い出したんですが

地震・雷・火事・犯罪
逃げ足の速さが命に関わることがあります

これなら走れるでしょうか
20111012050325_104677.jpg
伊東深水『婦女潮干狩図』(1929年)

現代では着物で潮干狩りをする人はいませんが
雨コートを着るときはこれと同じように
裾が濡れないように裾を上げます

状況的に、おばさまたちが寄ってきて
「あらあら、たいへん」
「あなた、お着物が汚れるわよ」
と口々に言うような時には上げてよろしいようです

裾を帯にはさむ、と言われていますが
あれは案外難しんです
いい加減にはさむとすぐに落ちてしまいます

手で持つとすると
全力で走るのは難しいかもしれませんね
小走り程度になってしまいそうです

本当に命に関わるときなら
掟破りですが
下前の角を引き出して持つと全力で走れます

時代劇で
行儀の悪い人が街を流しているとき
着流しの人が慌てて走るとき
裏が三角に見えるように裾を持って
膝から下が露わになるあれです

正気ならできません!(笑)

でもねえ・・・

「着物の裾が乱れるのを気にして逃げ遅れた」

聞けば美談ですが
私は着物なんかで死にたくありません(-_-)

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<追記>

キモノらしく走るにはどうすればよいのでしょう

「膝を離さずに走る」

体の使い方が違うのでトレーニングが必要です

・両足を揃えて立ちます
・つま先をつけ、かかとを軽く離します
・膝を軽く曲げます
・背骨と骨盤ををピラティスの「スクープ」にします
・顏を上げて顎を引きます
・膝を上下にすり合わせます

上半身が動かないようにして下さい
膝の上下動はすべて股関節で緩衝します
骨盤周辺のインナーマッスルを大きく使います
普段使わないところなので
動かない人もいるかも知れません
滑らかに動くように練習して下さい

走るときは、右手を腿に当て、着物の上前を押さえます
膝から下をハイピッチで回転させて走ります

・・・小走りなら可愛いでしょうけど
全力疾走すると女武芸者かくノ一
もしくは長刀を持った腰元に見えます(笑)
着物美人のタイトルは剥奪されるかもしれません(^_^;)

<着物の心得>
走らなくて済むスケジュールを組みましょう!

タグ:和服 美術館
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暁烏 英(あけがらす ひで)

ふだん着物を着ないわたしですが、このページすご~く参考になりました。阿波踊りでよく見かけるスタイルですね。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2014-01-08 18:04) 

Chobi.H.YAOITA

暁烏 英(あけがらす ひで)さん、こんばんは
ありがとうございます。昔は何をするにも着物でしたから、場面に応じた着こなしがもっとたくさんあったと思います。踊りを習っている方はまた違うことを知っているのでしょうね。機会があったら聞いてみたいと思います。
by Chobi.H.YAOITA (2014-01-09 00:51) 

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